リボンの騎士
天使チンクのいたずらにより、男の心と女の心を持つ、サファイア王女(王子)をヒロイン(ヒーロー)にした作品である。手塚自身が幼少の頃親しんだ宝塚歌劇の影響を強く受けていると考えられ、モデルは淡島千景と言われている。淡島が一度だけ男役を演じた舞台をたまたま手塚が観劇し、それをヒントにサファイアを考え出したという。
少女クラブ版(1953年~1956年)となかよし版(1963年~1966年)がある。また、続編として双子の騎士という作品がある。
三つ目がとおる
三つ目がとおる
連載当初は月1回の読切だったが、その後毎週連載に変更された。物語前半は一話完結だったが、後半は長編になった。過去に二度アニメ化されている。
1965年のW3事件以来、週刊少年マガジンと講談社と関係が絶たれていた手塚治虫が久しぶりに週刊少年マガジンに登場。1970年代の超能力、超古代文明を含むオカルトブームを手塚流に消化した本作は人気作品となった。当時、少年漫画誌での人気が低迷していた手塚治虫が復活を遂げたのは、本作と週刊少年チャンピオン連載の『ブラック・ジャック』によるもの、と位置付けられている。1977年に『ブラック・ジャック』と本作により手塚は第1回講談社漫画賞を受賞。同年には、講談社から全300巻の「手塚治虫漫画全集」が刊行開始されるなど、手塚と講談社の関係は修復された。
ブラック・ジャック
主人公は、黒いマント姿にツギハギの顔をもつ天才無免許医師、ブラック・ジャック。彼が法外な料金を請求した上で、様々な怪我や難病に立ち向かい、治療してゆく物語である。
本作は20ページ前後の一話完結型のオムニバス作品で、主人公ブラック・ジャックにまつわる話はもちろんのこと、当時の医療現場の現状、依頼主なり患者なりただの通りすがりなり主人公にかかわった人物たちの悲喜劇も取り扱っている。そのため主人公は、必ずしもすべての話で活躍するわけではなく、ごくまれに話のどこかで登場するだけの役であったりもする。
W3(ワンダー・スリー)
三人の宇宙人が地球にやってきた。彼らの任務は一年の調査の後、そのまま地球を残すか、反陽子爆弾で消滅させるかを決定することであった。ボッコ、ブッコ、ノッコ(マガジン版では隊長、ガーコ、ノンコ)の三人は地球の動物の姿を借り調査をすることにし、それぞれウサギ、カモ、ウマとなる。星真一少年はひょんなことから、彼らと知り合い行動を共にすることになる。一方、真一の兄、光一は世界平和を目指す秘密機関フェニックスの一員として破壊活動に従事していた。(マガジン版はここら辺まで)争いの止まない地球の実情から、反陽子爆弾による破壊を命じられた三人だったが、真一を通じて地球人の可能性に対する信頼を育てていた三人は命令を拒否する。罰として記憶を消去されて、何処かの星の人間として島流しとされることになった三人は、皆、地球を希望する。地球に送り出された彼らは時間を遡り、真一の身近にいた三人となる。 主人公、星真一の名前はSF作家「星新一」にちなむ。
ジャングル大帝
大阪在住の医大生時代は単行本の描き下ろしを中心として来た手塚治虫が、中央で本格的なデビューを飾ったのが本作である。学童社の月刊漫画誌「漫画少年」に1950年11月号から1954年4月号にかけて全43回を連載した。本来は『密林大帝』として単行本で描き下ろす予定だったのが、上京して偶然訪れた学童社において加藤謙一編集長の奨めで連載することになった経緯を持つ。連載開始時は4ページ、第2回からは扉ページのついた10ページに拡大になり、連載中は最大で16ページになるなど「漫画少年」の看板作品として君臨。以後の手塚は、単行本描き下ろしから、月刊漫画誌に仕事を切り替え、大学卒業後は漫画家に専念。1952年に『鉄腕アトム』を「少年」で連載を始めるまで、少年誌での手塚の代表的な仕事が本作である。
ハムエッグとピノコ
ピノコは、手塚治虫の漫画『ブラック・ジャック』に登場するキャラクターである。
単行本第2巻「畸形嚢腫」で、ブラック・ジャックの手術を受けた患者の体内から奇妙な形の脳や内臓が取り出され、その後、ブラック・ジャックの手によって一人の幼女として組み立てられた。独特の幼児語を話す(ちなみに幼女として組み立てられる前の状態ではテレパシーらしきもので会話していたが、この時は普通の言葉遣いだった)が、特に驚いた時に発する「アッチョンブリケ」は有名。顔は、医学雑誌(アニメでは子供服の広告)に掲載された、公害病患者のロミという少女の顔をモデルにして作られている。